ドイツと日本の図書館員とのあいだで交流があった、、、らしい
ひょんなことからおでかけしてきたのがこれ。でそのメモをばここに記します。
「ドイツの図書館におけるデジタル化とグローバル化の先進的な取り組み」
- ドイツ・スタディーツアー報告会&ワークショップ
- シンポジウム+ワークショップ
- 2010年2月4日(木)15:00 - 17:45
- ドイツ文化センター(東京) 1Fホール
- 参加費:無料
- http://www.goethe.de/ins/jp/tok/ver/ja5514432v.htm
ドイツ文化センターが企画したという。日本とドイツの図書館員が「デジタル化、アーカイブ、機関リポジトリ、オープンアクセス等について日本からの発表を加え5日間で50を超えるセッション」(当日のスライド資料「スタディーツアーの概要について」堀内美穂氏より)を行ったという。またいくつかの図書館の見学も行われた。開催期間はH22/11/22(日)-H22/11/29(日)の6泊8日。11機関の全12名が参加。参加機関は以下の通りで、大学・独法の図書館中心。
- 北海道大学
- 東北大学
- 筑波大学
- 一橋大学
- 京都大学
- 九州大学
- 国立情報学研究所(NII)
- 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
- 物質・材料研究機構(NIMS)
- 放射線医学総合研究所(NIRS)
- 科学技術進行機構(JST)
訪問先の図書館は以下の通り。
今回のイベントは、第1部3名による概要説明があり、小休憩をはさみ、第2部は4つのグループに分かれてそれぞれのテーマで発表が行われた。特に第2部は第1部で使われた部屋の四隅にテーブルと椅子をもうけ、参加者の興味によって自由にあちこちをまわって聞けるようになっているところがおもしろかった(が、実際にはたいていの場合一つの発表ごとに動くわけですが)。「飲みながら食べながら聞いてください」とアナウンスしていた点もおもしろい。第2部の4つのグループと発表者は以下の通り。
↓当日のプログラムはこちら↓
http://www.goethe.de/mmo/priv/5514446-STANDARD.pdf
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ここまでが概要。以後は、自分がいくつか気になったキーワードを中心につらつらと、とりとめもなく、書けるところまで。
自分は中でもグループBの「ポータル・リポジトリ・オープンアクセス-ドイツの現在、日本のこれから」に興味があったので、そこに張り付いてました。
グループBの発表者は、坂本拓氏(京都大学)星子奈美氏(九州大学)菅原光氏(一橋大学)の3名。もうなんていうか3名とも「わかくて、はきはき」。その3人がずらっと並んだ様子をみただけで「ああ、行くべき人が選ばれて遠方の図書館員と交流してきたんだな。このツアーは大成功だったんだな」と。
1. 坂本 拓「ドイツにポータルがある必然性!〜主題分担による合理的コレクション構築という背景」
- Vascode,vifa http://www.vascoda.de/
- DFG(Deutsche Forschungsgemeinschaft)
- SSG-Plan(Sondersammelgebietssystemplan)
坂本氏の発表はドイツのポータル周辺の話題。ドイツではSSG-Planという特定収集領域を定めて担当機関が担当主題をきちっと収集し、国全体としてきちっとコレクションを構築しましょう、という分担収集をやっているらしい。1949年にスタートしたもので、現在の参加機関は22。参加している図書館はそれぞれがまかされた主題分野の国内外、電子、紙資料問わず資料を収集し保存、提供する義務を負う。海外資料の75%の購入費用が保証されるがそれ以外は持ち出しになる。その制度をサポートしているのがDFGという非営利団体。ドイツ政府、州政府が出資している機関とのことで、日本でいえばJSTのような存在だろうか。最近だとオープンアクセス費用を肩代わりする、というアナウンスもしている様子。
http://johokani.jp/stiupdates/europe/2009/10/003727.html
さて、そんな感じでいくつかの機関に深ーいコレクションが構築されていて、そこからvifaという仮想電子図書館(サブジェクトゲートウェイ、あるいはポータルサイトのイメージ。と書いてみたが、どっちも曖昧すぎますね)の構築もDFGの支援によって進められているらしい(その中には論文だけではなくデータ類なども含まれているとのこと)。それを横断検索できるのがVascodeというもの(すばらしい!)。プレゼン最後の写真はおもしろかった。トルコライス食べたことがないので食べてみたい(ややネタバレ)。ku-librarians勉強会にて発表予定とのことでぜひ聞きにいきたいと思った。
あと2005年からはじまったナショナルライセンスの話ももっと聞きたかったです。
参考リンク
- 「ドイツ図書館訪問記」
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/kanpo/11-1/11-1-6.html
2. 星子 奈美「リポジトリのネクストフェイズ〜PEER,Pubman,COARの事例から」
- PEER
PEERは2008.9-2011.8の3年間、試験的に行われているプロジェクト。学術雑誌を巡るいくつかのステークホルダー(出版社、研究者、図書館とリポジトリ、助成機関)が各々の着地点を見定めましょうということでやっている(多分)。具体的には、PEERで選定されている雑誌に研究者が投稿すると、「セルフアーカイブしませんか?」という案内が届く。エンバーゴがすぎた後、セルフアーカイブにかかる費用のうち出版社から50%と論文に関するメタデータが提供されるので、研究者は残りの50%を支払うことで、PEERリポジトリに論文がめでたくのせられる、という仕組みらしい。エンバーゴ後に掲載とのことで、PEERを通じてリポジトリに搭載された論文のけっこうな部分はまだ「みられない」状況らしい。このプロジェクトの成果が実感できるのはもう数年後かもしれませんね。
詳しくは、こちらを。
http://www.peerproject.eu/presentations/
あとかえってきたら、STI Updateにこんな記事も。
http://johokanri.jp/stiupdates/europe/2010/02/004126.html
3. 菅原 光「オープンアクセスの持続を支えるもの〜ドイツにおける諸機関の取り組みを参考に」
- プロジェクト
ドイツではとにかく多くのプロジェクトがある、というのは第1部の発表者の多くもあげられていたこと。プロジェクトの背景にはパートナーの存在があり、そういった連携が重要である、ということを強いメッセージとして発表されていたようにおもう。また帰国後、日本の図書館、自身の図書館にてどう活かしていくか、という視点で発表を組み立てられていたのが非常に新鮮で勉強になった。
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以上、後半は力つきてぐずぐずのメモになりました。懇親会があったのですが、自分は以前インターンで関わっていた図書館の某新年会に参加するため泣く泣くその場を去りました。